うつ病で退職したけど、
復職したい方へ
当院(堺そらはねメンタルクリニック)でも、復職を目指す多くの患者さんがこの不安と向き合いながら、一歩ずつ回復の階段を登っています。
この記事では、発症から治療、休養、復職準備、復職、定着までの流れを、医師の経験と実例を交えて解説します。
読み進めることで、自分が今どの段階にいるのか、そして次に何をすべきかが明確になるはずです。
うつ病からの復職・
仕事復帰するまでの
ステップ
まず、うつ病から仕事復帰するための流れをご紹介します。
復職に対する疑問や不安を和らげるために、以下の流れで説明します。
- 発症と診断
- 休職期間
- 回復期
- 復職
詳細については、次に見ていきましょう。
1発症と診断-適切な治療開始が第一歩
うつ病の症状が現れたら、できるだけ早く専門の医療機関を受診しましょう。
医師による診断は、今後の回復計画の土台になります。
主な症状の例
- 憂うつな気分、興味の喪失
- 食欲や睡眠の変化
- 集中力の低下や強い疲労感
- 自責感や生きる気力の低下
診断を受けたら、必要に応じて診断書を取得し、会社で休職や退職の手続きを行います。
この段階で無理をすると症状が長引きやすいため、「休むこと」も治療の一部と考えましょう。
2休職期間-心と体を休める時間
休職中は、まず十分な休養を取ることが最優先です。症状の程度によって必要な期間は異なります。
うつ病の回復に必要な休職期間の目安
軽度:約1か月
憂うつな気分や興味の喪失に加え、食欲の変化、睡眠の乱れ、集中力の低下、強い疲労感などが見られる場合。
中度:約3~6か月
軽度症状に加えてより多くの症状が出て、遅刻や早退が増え、仕事を続けるのが難しくなるケース。
重度:1年またはそれ以上
欠勤を繰り返し、早期に休職して治療に専念する必要があるケース。
回復には波があるため、症状が軽くなっても焦って復職を急がないことが大切です。
この期間は「何もしたくない」日があっても自然な反応です。無理に活動しようとせず、心と体が求める休息を受け入れましょう。
次の準備ステップに進む目安は、日常生活がある程度スムーズに送れる状態になったときです。
3回復期-復職準備を始める
症状が安定してきたら、医師と相談しながら復職の準備を進めます。
復職準備のポイント
- 生活リズムを整える(毎日同じ時間に起床・就寝、朝食、身だしなみ)
- 活動量を少しずつ増やす(買い物や読書、通勤時間帯の散歩など)
- 体調記録をつけ、主治医との相談に活用
生活習慣が乱れたままだと、復職後に再び体調を崩すリスクが高まります。
この準備期間を丁寧に過ごすことが、スムーズな社会復帰の鍵となります。
4復職-段階的な社会復帰
十分に準備が整ったら、主治医に復帰の可否を確認してもらいましょう。
自己判断で復帰を決めるのは避け、必ず医師の見解を仰いで復職診断書を取得します。
復職時は人事や上司と話し合い、スケジュールを調整します。試し出勤制度がある場合は積極的に活用しましょう。
再就職を考えている場合は、専門のサポート機関の力を借りながら進めましょう。
うつ病の休職期間中の過ごし方
休職中の過ごし方のポイント
- 初期はしっかり休む(何もしない時間も治療の一部)
- 少しずつ活動量を増やす(趣味や散歩など)
- 無理をして逆戻りしないよう注意
休職中は、心身の健康だけでなく、復職後の仕事についてもさまざまな不安がよぎるかもしれません。しかし、不安を和らげるために、すぐに何かしなければならないわけではありません。もし不安が強く、何もする気になれないときは、無理に行動を起こさず、しっかりと休むことも大切なケアのひとつです。
休職したばかりの時期に不安から焦って行動しすぎると、かえって心身が十分に休まらなくなることがあります。新しいことを始める際は、まず十分な休息をとり、無理のない範囲で段階的に進めていくことが大切です。「何もしたくない」「何もできない」と感じるときは、心と体が休息を求めているサインかもしれません。その気持ちを受け止め、焦らず休みましょう。
少しずつ回復して、何かできそうな気持ちになってきたら、まずは自分が楽しめること、興味のあること、無理なくできることから始めてみましょう。休職期間は、無理に何かをするのではなく、自分のペースで体調と向き合いながら過ごすことが大切です。
復職・仕事復帰が
怖いと感じる方へ
復職への不安は自然な感情です。
以前の職場での経験や再発への恐れがある場合は、産業医や上司、人事担当、家族と相談しながら業務内容や負担を調整してもらいましょう。
焦らない
うつ病からの復職において、焦ることは禁物です。
責任感が強い方ほど焦りやすいですが、無理に復職しようとすると逆にパフォーマンスが低下し、さらなるストレスになります。
焦らず、信頼できる人に相談しながら復職のタイミングを見極めましょう。
定期的な通院と服薬の継続
うつ病は波があり、改善しても再び悪化することがあります。独自の判断で通院や服薬を中止せず、主治医と連携して継続的な治療を受けることが大切です。
規則正しい生活
不規則な生活はうつ病を悪化させる可能性があります。
就寝・起床時間を一定にし、食事をしっかり摂り、健康的な生活を心掛けましょう。復職に向けて、仕事をしていた頃と同じ生活リズムに整えることが重要です。
軽い運動習慣
(ストレッチ・散歩)
気分が良い時に軽い運動を取り入れることで、気分がリフレッシュされ、ストレスも解消されます。
また、運動量を記録しておくことで、主治医との相談にも役立ちますし、達成感から自己評価が上がる効果も期待できるでしょう。
うつ病の方には、ストレッチや軽い散歩がお勧めです。
散歩する際は、本来通勤していた時間帯に自宅周辺を歩いてみましょう。
体調や気分が厳しい時は、ベランダや庭に出るだけでも有効です。「楽しむこと」を大切にし、運動を習慣化することが重要です。
信頼できる相談相手を持つ
うつ病の回復を促進するためには、気軽に話せる理解のある相手を見つけることが重要です。 恐怖や不安などの感情は、他人と分かち合うことで和らぐことが多いです。
相談相手としては、家族、友人、職場の同僚など、誰でも構いません。 もし適切な相談相手が見つからない場合は、主治医、産業医、カウンセラー、または相談窓口に相談してみましょう。
ストレス対処法の習得
自分が感じるストレスの原因をリストアップし、どのように対処すれば気持ちが楽になるかを考えましょう。
自分に合った対策を見つけることが、より充実した生活に繋がります。
働き方の見直し(短時間勤務やリモートなど)
うつ病の原因は人それぞれ異なりますが、復職に対する深刻な不安がある場合、現在の働き方に課題があるかもしれません。
まず、職場と相談して、適切な配慮や業務の調整、場合によっては業務内容の変更などを検討してみましょう。また、リモートワークや短縮労働時間などを検討するのもお勧めです。
復職後の選択肢と支援制度
試し出勤制度
復職前に試験的に勤務を始める制度です。以下の方法で、徐々に復職できます。
- デイケアで模擬作業
- 図書館で就業時間を過ごす
- 通勤経路を歩く
試し出勤制度は復帰の判断基準として活用できます。
復職支援プログラム(リワーク)
医療機関や地域障害者職業センターなどで受けられるリハビリプログラムです。復帰後のフォローアップも期待でき、少しずつ職場復帰を目指せます。
転職・再就職
現在の職場に戻りたくない場合は、転職を検討しましょう。
再就職の際は、支援機関を活用して自分に合った仕事を見つけ、適切なサポートを受けることが重要です。
まとめ
うつ病からの復職や職場復帰は、焦らず段階を踏むことが成功への近道です。
発症 → 休職 → 回復期 → 復職準備 → 社会復帰 → 定着という流れを意識し、自分のペースで進めましょう。
- 休養は回復の土台
- 生活リズムを整えることが復職準備の第一歩
- 主治医や支援機関と連携しながら進めることで安心感が増す
- 試し出勤やリワークプログラムなどの制度を活用すれば、再発予防と定着につながる
うつ病からの社会復帰は一人で抱え込む必要はありません。
家族、友人、医療機関、支援制度など、あなたを支えるリソースはたくさんあります。
堺そらはねメンタルクリニックでは、診断から治療、復職支援までを一貫して行い、再発予防と安定した生活をサポートしています。
もし不安や迷いがあるときは、まずはご相談ください。