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不眠症

不眠症は治療できる?原因・種類・受診の目安・対処法まで解説|堺そらはねメンタルクリニック

「夜眠れない」「朝まで何度も目が覚める」などの睡眠トラブルでお困りではありませんか?
不眠症は誰にでも起こりうる身近な問題ですが、放置せずに対処することで改善が期待できます。
本ページでは、不眠症の種類や原因、どの診療科を受診すべきか、精神科で行う治療内容、よくある質問までをわかりやすく解説します。

不眠症とは?

不眠症とは、寝つきが悪い・途中で目が覚める・早朝に目覚めてしまうといった症状を指します。このページでは、不眠症の種類、原因、治療法、医療機関の選び方、そしてよくある質問までをわかりやすく解説しています。

不眠症に悩んでいる人は意外に多い

不眠症に悩む人は、実は意外と多く、成人の約3人に1人が不眠を経験していると言われています。しかし、そのうち実際に不眠症と診断される人は、10人に1人程度に過ぎません。
中でも、女性に比較的多く見られる傾向があり、場合によっては日常生活に支障をきたすほど深刻になることもあります。

寝つきが悪かったり、一度眠っても何度も目が覚めたり、朝早く目覚めてしまい再度寝つけないという症状に悩む人も少なくありません。これらの不眠症状は、3〜5割程度の人が一過性に経験し、約1割の人が慢性的な不眠症に悩んでいるとされています。

不眠症の症状に関しては、誰しもが感じることのある一時的な悩みと、慢性的に続く厄介な問題が存在します。自分の症状に気づき、早めに対処することが重要です。

不眠症の種類

不眠症は大きく4つの種類に分類できます。

入眠困難

ベッドや布団に入ってもなかなか寝付けない状態。

中途覚醒

睡眠中に何度も目が覚めてしまう。

早期覚醒

起きる時間の2時間ほど前に目が覚め、その後寝直せない状態。

熟眠障害

睡眠時間は十分であっても、眠りが浅くて寝た気がしない。

多くの人が一度は、寝室で考え事や不安が頭をよぎり、寝付けないまま朝を迎えた経験があるのではないでしょうか。充分な睡眠を取ったはずなのに、朝起きるとまだ寝足りない、あるいは疲れが取れていないと感じる方も多いです。このような症状が続く場合、日常生活に支障をきたすことがあるため、注意が必要です。

不眠症の原因とリスク要因について

睡眠の悩みにはさまざまな要因が関係しています。主に「環境の変化」「身体的な影響」「生活習慣」「心理的なストレス」などが挙げられます。現代は、生活リズムの乱れやストレスの増加、高齢化などの影響で、不眠を訴える方が増えているのが現状です。日本では成人の約5人に1人が睡眠に何らかの問題を抱えているといわれており、良質な睡眠を確保することが、健康的な生活を送るうえで欠かせません。眠れない日が続いたり、日常生活に影響が出たりしている場合は、お早めにご相談ください。

環境の変化

進学や就職、引っ越しなどの生活環境の変化や、季節の移り変わりが影響することがあります。

身体的な影響

夜間頻尿の背景にある前立腺疾患や糖尿病、泌尿器系のトラブル、更年期障害に伴うホットフラッシュ、皮膚疾患によるかゆみ(アトピー性皮膚炎など)など、多岐にわたる身体要因が不眠を引き起こす可能性があります。

生活習慣の影響

寝る前のスマートフォンやパソコンの使用、アルコールやタバコ、カフェインの摂取などが睡眠の質を低下させる原因になることがあります。

心理的なストレス

人間関係の悩み、不安やイライラなど、精神的な負担が大きいと、なかなか寝つけなかったり、眠りが浅くなったりすることがあります。

不眠症は何科で治療できる?

不眠症がある場合、内科や精神科、心療内科での受診をおすすめします。不眠症は、寝つきが悪い、眠りが浅い、夜中に目が覚めるといった症状が特徴です。上述の通り、原因としてはストレスや生活習慣の乱れ、身体的な問題、精神的な要因が考えられます。

軽度の不眠症であれば、まずは内科での診察を受けると良いでしょう。内科では、生活習慣の改善指導や、必要に応じて軽度の睡眠導入剤の処方など、比較的シンプルな方法で対応します。全国的に開院している内科は、気軽に相談しやすい科目です。

もし、不眠症の原因が精神的な問題に起因していると感じる場合は、精神科や心療内科での診察を受けることが推奨されます。これらの科では、カウンセリングや認知行動療法を中心に心のケアを行い、場合によっては薬物療法で精神的な調整も行います。

精神科や心療内科では、精神面に特化した治療が行われるため、不眠症の根本的な原因にしっかりとアプローチすることができます。

どのタイミングで精神科・心療内科に行くべきか?

一般的には、週に3回以上の不眠症状が1か月以上続く、または1か月以内でも仕事や家事、学業などに著しい支障を感じる場合は、専門家に相談する目安とされています。

精神科・診療内科で行う不眠症の治療

薬物療法

不眠症のタイプによって治療法も異なります。通常、一時的に睡眠薬を使用しますが、症状に応じて、他の医薬品や薬を使わない治療法も組み合わせることがあります。

最新の睡眠薬は、非常に進化しており、安全性が高く多様な種類が開発されています。医師の指導のもとで適切に使用すれば、依存などの心配も要りません。
例えば、高齢者の場合、ふらつきを避けるために筋弛緩効果が少ない薬や効果が短時間で終わる薬が選ばれることがあります。

精神疾患が背景にある場合、睡眠薬の効果が限定されることもありますので、不眠症の治療は心療内科や精神科が専門です。軽い睡眠薬は内科でも処方されますが、自己判断で継続的に使用すると状態が悪化する可能性があるため、効果がない場合は心療内科や精神科に相談することが推奨されます。

長期にわたって睡眠に問題がある場合、心身が疲弊し、仕事や日常生活、全身の健康状態や精神状態に影響を与える可能性があるため、専門の治療機関での相談を検討することが重要です。

心理療法

不眠症の治療には、通常、薬物療法が主要ですが、心理療法とリラクゼーション法の両方を組み合わせることも重要です。心理療法を受けることで、薬の必要性が低減され、不眠症の再発を予防する効果が期待されます。
心理療法の一環として、睡眠日誌をつけることが推奨されます。自分の睡眠状態を記録することで、過度な不安やネガティブな考え方を改善し、客観的な事実を冷静に理解することができます。
不眠症が慢性化すると、心身が疲れ、悲観的な傾向が強まります。例えば、実際には5時間は眠っていたのに「まったく眠れなかった」と感じたり、不眠の影響で仕事に集中できていないと思い込んでしまうことがあります。

人間の記憶は曖昧であり、「以前は8時間も眠っていた」「今月はまったく眠れなかった」と、事実を歪んで記憶してしまうことがあります。睡眠日誌をつけて就寝時刻や起床時刻、睡眠の質、体調、その日の行動などを記録することで、自分の誤った考えに気づくことが可能です。
他者からの反応で「自分の苦しみは理解されないんだ」と感じることもあるため、自己記録は非常に重要です。自分自身を客観的かつ長期的に見つめることで、焦りや不安が軽減され、適切な対処法がより明確になります。

不眠症に関するよくある質問

不眠症になりやすい人はいますか?

大きな緊張やストレスは眠りを妨げる要因になります。したがって、真面目で神経質な方は、精神的負荷による不眠症にかかりやすい傾向があるかもしれません。

一睡も出来なかった日はどうすればいいですか?

眠れないまま朝になったことで体調が悪化した場合は、仕事をお休みすることをお勧めします。十分な眠りは健康や業務パフォーマンスに大きな影響を及ぼします。
無理をして出勤してしまい、体調を崩して業務に支障をきたすことやミスを犯してしまうと、逆に同僚に迷惑をかけることになりかねません。
睡眠不足が原因であると感じるかもしれませんが、きちんと休息をとり、翌日から頑張ることも大切です。必要に応じて、午前中や午後に少し時間を取って休息をとる方法もお勧めします。

不眠症になった場合、昼寝はしてもいいですか?

昼寝しても問題ありません。午後3時までの1時間以内の昼寝でしたら、夜の眠りに影響がないとされています。30分程度の短時間の昼寝は、その後の集中力を高め作業効率を改善することにも役立ちます。
避けるべきなのは、夜間に眠れず、不足分を昼寝で補おうとすることです。長い昼寝は夜の眠りを浅くしてしまい、悪循環に陥る恐れがあるので注意が必要です。

不眠症は自力で治すことができますか?

自力で克服できる可能性はあります。不眠症は、睡眠に関する不適切な習慣によって引き起こされるものですが、症状が慢性化している場合には、医療機関での適切な治療が必要になるかもしれません。 症状が軽微または慢性化する前である場合には、睡眠習慣を見直すことで、改善できる可能性があります。
自力で対処して不眠症が改善しない場合は、悪化させる前に、医療機関へ相談して適切な治療を受けましょう。

不眠症とうつ病は関係ありますか?

うつ病と不眠症の高い併存率が知られており、眠りにつきづらい(入眠困難)、夜中に目が覚める(中途覚醒)、予定よりもかなり早めに目が覚める(早朝覚醒)といった不眠症状のいずれかを経験するとされています。実際にうつ病患者の77〜90%が、入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒といった不眠症状のいずれかを経験するとされています。特に早朝覚醒は、うつ状態が強いときに現れやすい症状の一つです。また、不眠症状は他のうつ症状に先行して現れることもあり、うつ病患者の41%は、不眠症状が他のうつ症状よりも先に現れることが報告されています。
うつ病が改善された後も、不眠症状だけが持続するケースは少なくありません。特に高齢者では、不眠が寛解後にも残存し、それが再発リスクを高めたり、治療への反応性を下げたりすることがわかってきています。残存する不眠に適切に対処しないと、再燃や慢性化につながる可能性もあるため、注意が必要です。
以前はうつ病が改善されれば、不眠症状も改善されると考えられていましたが、不眠とうつは互いに悪影響を及ぼす関係にあるため、近年では、うつ病と共に現れる不眠症状に積極的に対処することが重要視されています。

不眠症をそのままにしておくとどうなりますか?

不眠症を放置すると、集中力や記憶力が低下し、仕事に悪影響を及ぼしたり、頭痛や腹痛が発生したりして、心身に不調が生じる可能性があります。
週に3日程度の睡眠不足が3ヶ月以上続くと、「慢性不眠症」と診断されます。3ヶ月未満の場合は、「短期不眠症」とされます。
一度、慢性不眠症になると、自然に回復するのは困難になります。
眠れないことで不安を増幅させ、症状を悪化させることもあるため、お悩みの場合はすぐに受診しましょう。

不眠症で睡眠をとれずにいると、脳にどんな影響がありますか?

睡眠不足により、感情を制御する脳の機能が低下し、イライラや落ち込み、意欲の低下などがしやすくなります。
睡眠中には免疫細胞が活性化するため、睡眠不足は免疫力の低下も招きます。免疫力が低下すると、風邪や感染症のリスクも高くなります。