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横になるとすぐ寝てしまう

横になるとすぐ寝てしまうのは病気のサイン?原因と受診の目安を解説│堺そらはねメンタルクリニック

布団に入った瞬間に寝てしまう」「気がついたら眠っていた」——こうした経験が頻繁にある方は、単なる疲労ではなく、睡眠に関する問題が隠れている可能性もあります。本ページでは、横になるとすぐに寝てしまう理由や、考えられる病気、どの診療科に相談すべきか、そして改善に向けた対策についてわかりやすくご紹介します。

横になるとすぐ寝てしまうのはなぜ?

「横になるとすぐ寝てしまう」「気づいたら寝ていた」といった経験があると、健康面で少し不安を感じるかもしれません。
ですが、すぐに眠りに入ること自体が、必ずしも悪いわけではありません。
ただし、日中に強い眠気がある、十分な睡眠時間を取っているのに疲れが取れないといった場合には、睡眠の質の低下や、何らかの疾患が関係している可能性もあります。
本記事では、そうした状態の主な原因・考えられる病気・日常でできる対策までをわかりやすく解説していきます。

気絶と“寝落ち”の違いとは?

気絶したかのように寝てしまう」という表現は、実際には「寝落ち」と非常に近い感覚ですが、医学的な「気絶(失神)」とはまったく異なる状態です。

気絶

気絶(失神)は、脳への血流が急激に減少することによって起こります。強い感情や長時間の立ち仕事、急な立ち上がりなどが原因です。

寝落ち

疲労や眠気によって自然に眠ってしまう現象。脳は段階的に睡眠へと移行し、起きたときに通常通り意識は戻ります。

寝落ちは健康な人でも起こりうる自然な現象ですが、「気絶のように眠る」状態が頻繁にある場合は、実は睡眠の質が著しく落ちている・極度の睡眠不足があるなどのサインかもしれません。

横になるとすぐ寝てしまう5つの主な原因

横になるとすぐ眠ってしまう原因は、人によってさまざまですが、代表的なものとしては以下のような5つが挙げられます。

睡眠負債

「睡眠負債」とは、必要な睡眠時間を繰り返し削ってしまうことで生じる慢性的な寝不足の蓄積です。この状態では、体が強制的に睡眠を補おうとするため、横になった途端すぐに眠りに落ちる現象が起きやすくなります。

睡眠障害(過眠症など)

昼間の強烈な眠気が頻繁に起こる場合、過眠症などの睡眠障害が疑われることがあります。過眠症には様々なタイプ(ナルコレプシー、特発性過眠症など)があり、生活に支障をきたすほどの眠気が続くようなら医療機関での相談を検討しましょう。

薬の副作用

いくつかの薬剤は眠気を引き起こす副作用を持っています。服用方法を誤ると副作用が強く現れることがあるため、注意が必要です。眠気が副作用の場合、医師と相談し、薬を変更することが推奨されます。

食後の血糖値の上昇

食事内容によって異なりますが、多量のグルコース(ブドウ糖)を摂取すると、急激な血糖値上昇を伴う「グルコーススパイク」という現象が起こります。この際に多くのインスリンが分泌されます。その結果、血糖値が急速に低下し、強い眠気に襲われる可能性があります。また、食後は消化器官が活発に動作し、副交感神経が優位となり、体がリラックスモードになって眠気を覚えることがあります。

横になるとすぐ寝てしまうのは病気?

横になるとすぐ眠ってしまう、気が付けば眠っているだけでは、それが病気であると断じることはできません。しかし、以下の症状や障害による影響も考えられます。下記の疾患の確定診断は、医療機関によって実施されます。

ナルコレプシー

ナルコレプシーは、昼間に耐えがたい眠気が繰り返し訪れる睡眠障害です。笑ったり驚いたりすると、全身の筋肉が力を失う情動脱力発作や、入眠時に金縛りのような睡眠麻痺、現実のように鮮明な夢(入眠時幻覚)が起こることがあります。ナルコレプシーは、脳内物質「オレキシン」の分泌低下が一因と考えられており、自己免疫反応や遺伝的素因が関連している可能性があります。感染症や頭部外傷がきっかけで発症する例が報告されることもありますが、まだ研究段階です。

現時点では、この病気の根本的な治療法はまだ確立されていません。しかし、生活習慣を改善して十分な睡眠時間を確保したり、短時間の昼寝を取ることや医薬品の使用によって、症状を軽減する対処が行われます。

特発性過眠症

日中になると過度の眠気が生じる睡眠障害です。ナルコレプシーのような情動脱力発作や睡眠麻痺・入眠時幻覚は見られませんが、夜間の睡眠時間が長いと、昼間に長時間眠ってしまう傾向があります。
特発性過眠症の明確な原因はまだ解明されていませんが、薬物治療や適切な睡眠時間を確保するための生活習慣の見直しによって、過眠症状の改善を目指します。

その他

睡眠時無呼吸症候群、非定型うつ病、双極性障害、ADHD、自律神経失調症、及びその他の身体症状による不快や障害によって、過眠や昼間の眠気が現れるケースもあります。

横になるとすぐ寝てしまう際、何科を受診すればいい?

日中の眠気で生活に悪影響を及ぼしている場合には、精神科や心療内科、睡眠外来へ受診してみてください。睡眠外来は、精神科だけでなく、耳鼻咽喉科や循環器内科、呼吸器内科の中に設置していることもあります。

ただし、過眠症の原因は多岐にわたります。睡眠時無呼吸症候群や甲状腺機能低下症といった他の病気が潜んでいることもあります。

睡眠時無呼吸症候群の場合は呼吸器内科や耳鼻科、甲状腺機能低下症の場合は内分泌・代謝内科など、別の診療科へご紹介を行うこともあります。
まずは必要な問診や検査を受け、他の専門医の診察が必要とされた場合は、紹介状を手に入れましょう。

横になるとすぐ寝てしまう症状の改善策と対策

上述の通り、「横になるとすぐ寝てしまう」「気絶したように眠ってしまう」と感じる背景には、慢性的な睡眠不足や、過眠症といった睡眠の問題が潜んでいることもあります。
もし思い当たる症状がある場合は、日々の生活習慣を見直すことが、改善への第一歩になるかもしれません。ここでは、睡眠の質を高めて、昼間の眠気や疲労感を和らげるための具体的な方法を3つご紹介します。

1. 規則正しい生活を送る

朝目覚めたら、太陽の光を浴びることが大切です。体内時計が調整され、夜には自然な眠気が訪れてぐっすりと眠れるようになります。
また、生活リズムを整えるためには、休日も平日と同じ時間に食事を摂ることが必要です。1日3食バランス良く摂るように心がけましょう。ただし、寝る直前に食事すると、消化活動が優先されて眠りを妨げる可能性があるため、注意が必要です。
カフェインを含むコーヒーやチョコレートは、寝る前に摂取しないよう心がけましょう。

2. ゆっくりお風呂に入る

良質な睡眠を得るためには、湯船に浸かって身体を温めることが有効です。一旦体温が上がった後、少しずつ体温が下がっていくと眠気が起こりやすくなります。就寝の約90~120分前に入浴を済ませると、体温が下がるタイミングで眠気を感じやすくなります。
38℃のぬるめのお湯に25分~30分程度入ると、ゆっくりと体を温められます。熱めのお風呂に入りたい方は42℃で5分程度、半身浴をしたい方は約40℃のお湯で30分程度浸かるのをお勧めします。

3. 睡眠環境を見直す

寝室の環境を整えることも大変重要です。
夏は25℃〜26℃、冬は22℃〜23℃が睡眠に最適な温度とされています。湿度は年間を通して50%〜60%に調整しましょう。加湿器などを利用して環境を整えてください。
また、照明は落として、静かな環境を作ることが肝要です。
そして、枕の高さやマットレスの硬さを体に合わせて選択しましょう。特にマットレスは、睡眠の質に大きく影響を及ぼすため、慎重に選びましょう。硬すぎると体に負担をかけ、柔らかすぎると腰痛を招く恐れがあります。

まとめ

上述の通り、横になるとすぐ眠ってしまう状態は、疲労がたまっているサインであることもあれば、睡眠障害の一部である可能性もあります。
まずは生活習慣を見直し、それでも改善しない場合には早めに医療機関で相談してみましょう。
「眠りすぎ」も「眠れなさすぎ」も、心と体からの大切なサインかもしれません。気になる方は、無理をせず自分をいたわることから始めてみてください。