朝、どうしても起きられない…その原因とは?
「周りの人は元気に朝を迎えているのに、私だけ朝が苦手…」そんな悩みを抱えていませんか?実は、朝起きられない原因は眠気ややる気の問題だけではなく、体内時計や生活習慣、健康状態に深く関係しています。この記事では、朝の目覚めが悪い原因を解説し、改善方法を紹介します。朝の目覚めを変えるための手助けになるかもしれません。ここでは、「朝起きられない」「寝すぎる」原因と対策を、生活習慣・体の仕組み・医療的な視点から解説します。
朝起きられない原因:体内時計と生活習慣
朝、スムーズに起きられない原因の一つとして、体内時計の乱れがあります。人間の体内時計は約24.2時間のリズムを持ち、光や食事がこのリズムをリセットしますが、リセットがうまくいかないと朝起きるのが難しくなります。体内時計が乱れる主な原因を以下に紹介します。
体内時計の乱れによる問題
体内時計が乱れる原因には、疾患や生活リズムの乱れ、体内時計の周期の個人差などがあります。例えば、過眠症や双極性障害、発達障害、起立性調節障害などの疾患が原因となることがあります。これらの疾患では、朝起きるのが難しくなることがあります。
また、夜勤や昼寝などによって生活リズムが乱れると、体内時計が正常に機能せず、朝起きるのが困難になります。ロングスリーパーと呼ばれる体内時計が長い場合、調整が難しくなり、目覚めが遅れることがあります。
体内時計とメラトニンの関係
体内時計は、メラトニンというホルモンを通じて覚醒と睡眠のリズムを作ります。メラトニンは昼間に少なく、夜間に分泌されます。日中に強い光を浴びる(屋外活動や窓際で過ごすなど)と、体内時計がリセットされやすくなります。夜間は逆に明るい照明を避け、画面の光(ブルーライト)をコントロールすると、メラトニンが適切に分泌され、朝の目覚めが楽になることがあります。
朝起きられない人の特徴とは?
朝、起きられない原因には生活習慣や体調の問題があります。以下の特徴が見られる場合、朝起きるのが難しくなることがあります。
夜型の生活リズム
夜型生活が増える中で、体内時計が遅れ、朝の目覚めが遅くなることがあります。特に、強い光や夜更かしが原因となります。
睡眠の質が低い
睡眠の質が悪いと、どれだけ寝ても疲れが取れず、朝起きるのが難しくなります。寝つきが悪かったり、途中で目が覚めたりする場合、体調に問題があるかもしれません。
ストレスが多い
過度なストレスは、メンタルの不調を引き起こし、睡眠の質を低下させます。ストレスは自律神経のバランスを崩し、心身に影響を与えることがあります。
夕食が遅い
遅い夕食は消化を妨げ、睡眠に悪影響を与えます。夜遅くに食事をとることで、睡眠の質が低下する可能性があります。
低血圧の影響
低血圧(最高血圧100mmHg未満)が原因で、朝の目覚めが辛くなることがあります。低血圧に伴う倦怠感や疲れやすさが影響することもあります。
朝起きられない時に考えられる病気
朝起きられない理由として、睡眠不足や生活リズムの乱れに加え、いくつかの病気が関係していることがあります。以下に、朝起きられない時に考えられる病気を紹介します。
睡眠相後退症候群
睡眠相後退症候群は、体内時計が遅れることで、寝る時間や起きる時間が遅くなる状態です。特に、夜遅くまで活動していると、朝の目覚めが遅くなり、起きるのが困難になることがあります。
閉塞型睡眠時無呼吸症候群
この病気では、眠っている間に一時的に呼吸が止まることがあります。呼吸が止まるたびに深い眠りから浅い眠りに移行し、睡眠の質が低下します。これにより、朝起きるのが辛くなり、日中の眠気も強くなります。
抑うつ症状
うつ病や抑うつ症状があると、朝起きることが極端に辛く感じることがあります。抑うつ症状は、体が重く感じられ、エネルギーが出ないため、朝起きるのが非常に難しくなることがあります。
慢性疲労症候群
慢性疲労症候群は、原因不明の強い疲労感が続く病気です。これにより、朝の目覚めがつらく感じ、起きても疲れが取れないと感じることが多いです。
高血圧や低血圧
血圧が高すぎたり低すぎたりする場合、朝起きた時に立ちくらみやめまいが生じ、起き上がるのがつらくなることがあります。特に、朝起きた時の血圧の急激な変動が原因となることがあります。
甲状腺疾患
甲状腺機能低下症(橋本病など)は、ホルモンの分泌不足により、倦怠感や眠気を感じやすくなります。これにより、朝の目覚めが非常に難しく、日中の眠気も強くなることがあります。
その他の睡眠障害
周期性四肢運動障害やレム睡眠行動障害などの睡眠障害があると、眠りの質が低下し、朝起きれない原因になります。女性の更年期や高齢者の認知症による睡眠障害も要因となります。
また、ロングスリーパーですと、前日の夜に早めに寝ないと翌朝起きるのが難しくなります。
眠りを妨げるNG行動とは?
質の良い睡眠を得るためには、寝る前の行動に気を付けましょう。以下に、睡眠を妨げる代表的なNG行動を詳しく紹介します。
寝る前のカフェインの摂取
カフェインは覚醒作用があり、コーヒーやエナジードリンク、チョコレートなどに含まれています。就寝前に摂取すると神経が刺激され、眠りにくくなります。カフェインの効果は数時間続くため、夜遅くの摂取は避けましょう。また、アルコールやニコチンも同様に寝つきに影響を及ぼします。
就寝直前の入浴
熱いお湯に浸かると体温が上がりすぎて、眠気を誘う深部体温の低下が遅れてしまいます。就寝1~2時間前に入浴を済ませることで、入浴後に体温が下がるタイミングで上手く眠れるようになる、と言われています。
就寝直前の食事
寝る直前に食事をとると、消化活動が活発になり、眠りが妨げられます。特に脂っこい食事や高カロリーの食べ物は消化に時間がかかり、胃腸に負担をかけます。理想的には、寝る2〜3時間前には食事を終えておきましょう。どうしても空腹を感じる場合は、軽食や消化の良い食べ物を選びましょう。
スマートフォンの使用
就寝直前のスマートフォンの使用は、眠りを妨げる要因になります。スマートフォンから発せられるブルーライトは脳を刺激し、メラトニンの生成を抑制します。メラトニンは眠りを誘うホルモンであり、生成が妨げられると眠りにくくなります。
また、画面を見続けることで眼精疲労が起こり、眠りが浅くなってしまいます。就寝前の1時間はスマートフォンの使用を控え、リラックスできる環境を整えましょう。
朝起きられない生活習慣の改善方法
「良い目覚め」において欠かせないのは睡眠です。しかし、それを理解していても、夜更かしをしてしまったり寝る前にスマホを見てしまったりする人もいるかと思います。
朝スッキリ起きるための生活習慣改善には、次の3つが特に重要です。
副交感神経を優位にさせる
朝の覚醒時には、交感神経へのスイッチングが必要ですが、夜の睡眠時には、副交感神経へのスイッチングが重要です。交感神経への切り替えは簡単ですが、 副交感神経へのスイッチングは困難なため、積極的に「交感神経を刺激しない」ことが重要です。例えば、スマートフォンを見るのを控える、深呼吸をする、ゆっくりとストレッチを行うなどの方法があります。これらの行動により、副交感神経が優位になることができます。
深部体温を下げる
睡眠時には、深部体温が約1℃下がります。寝る前に体表面から熱を逃がし、内部の体温を下げることで眠気を誘発させます。入浴も睡眠の準備に有効であり、ゆっくり湯船に浸かることで体温が上昇し、その後血行が促進され、熱を体外に放出して体温が低下しやすくなります。
就寝1〜2時間前に入浴することで、深部体温が適切なタイミングで低下します。保温効果のある入浴剤や香りによるリラックス効果を活用して、体を温める時間を楽しみましょう。
睡眠に関わるホルモンを整える
メラトニンは、夜間に分泌量がピークになり、体内時計を調整し睡眠を導くホルモンです。メラトニンはトリプトファンと呼ばれるアミノ酸から合成されます。トリプトファンは、かつお節や煮干しなどの魚介類、高野豆腐や大豆製品、豚肉、鶏肉などに豊富に含まれています。和食を朝食に取ることで摂取しやすくなります。
夜に光を浴びるとメラトニンの合成が抑制されるため、就寝前にはスマートフォンの使用を控えることが推奨されています。
頭を空っぽにする
良い睡眠のためには、頭を空っぽにすることも大切です。気になることがあると、それが頭に引っかかり眠れなくなることがあります。そのためにお勧めなのが、今日やり残したことを紙に書き出すことです。日記やメモでも構いません。解決できないことをアウトプットすることで、頭の中から追い出すのです。これにより、頭を空っぽにして、スムーズに眠りに入ることができます。
今回ご紹介した方法は、どれも日常生活で簡単に取り入れられるものなので、ぜひ習慣にしてみましょう。「分かっているけど実行できない」という方も多いと思いますが、試してみると効果を感じることができます。ぜひ、できる範囲から頑張ってみましょう。
朝起きられない場合はクリニックへの相談も検討しましょう
生活習慣を改善しても、朝起きられない場合は、精神疾患が考えられます。
したがって、朝起きられない場合は、当院へご相談ください。
精神科や心療内科を受診することで、より詳しい診断を受け、病名や原因を特定することが可能です。
精神疾患が診断された場合、休職も1つの選択肢です
精神疾患と診断されたら、休職を検討することも重要です。
精神的な健康は生活全般に大きな影響を及ぼします。無理をせずに働き続けるよりも、適切な治療と休息を取り、心身の回復を優先することができます。
休職中にカウンセリングを受けることや専門家のアドバイスに従うことで、回復をスムーズに進めることができます。
自分のペースで、無理をせず心の健康を回復し、長期的な視点で復職を目指すことも検討してください。